いぼ

楽問のすすめ

肉体労働

久しぶりに肉体労働をしているので身体的苦痛を体験している。
労働中はいくらでも汗をかくから毎日3L程度の水分補給が必要となる。
あまりにも過激な肉体労働は学問の妨げになる事がわかった。
帰りの電車やバスの中でテクストを開いてみるが、頭が働かず文章の内容が理解できない。
労働中に重いものを大量に素早く運ぶ動作を長時間行うことで、酸素が不足気味になっている事が労働後にも影響しているのかもしれない。
しかし、自宅で椅子に座っていても肩こりや頭痛はしなくなった。
従って適度な運動量ですむ肉体労働を選択したほうがよさそうである。日本にいると労働の選択肢はたくさんあるから幸いである。

労働現場では外国人をよく見かける。ガーナ、ペルー、いんど、中国、韓国、フィリピン、インドネシアなどの国籍を持つ人々。
話をした人たちは、日本で何年も生活しているから彼らが日本で暮らす上で必要とされる日本語は習得している。
仕事や日常生活に必要な語彙は習得しており、文法に間違いがあっても彼らの周りにいる日本人が彼らの言いたいことを理解できる程度にある。
しかし、彼らの生活圏以外の日本語の語彙も存在している。それらについて彼らは知る機会がない。
僕が、社会現象、と労働現場である外国人と話ししていて発すると、その人は意味がわからなかった。
平均、という単語を知らない人もいた。
喋るのは流暢だが日本語が読めない人もいた。
彼らの多くは日本語を学校に通ったり、本を読んで文法を理解してから学習していくのではなく、日本で暮らす中で日本人や周りの外国人が日本語を話すのを聞いてそれを真似することで覚えている。
英語を母語とする人達もいるから、
英語教師になったらどう?日本では現在商売のために実用的な英語や中国語の習得が大衆の間で流行しているよ。
と伝えてみたが、彼らはそういう仕事が自分の選択肢としてあるという事を知らない。彼らのコミュニティにそういった情報が存在しないからだろう。
一方で僕のパートナーの場合は、日本語を学習する際、まずテクストで文法を学習し、日本での仕事探しの際は、英語教師やホワイトカラーの職種のみが範囲にあり、ブルーカラーの職種は範囲にない。彼女のコミュニティにそういった慣習がないからだろう。
多くの人が成長していく自分の置かれた環境から学習し、社会化していく。
そして彼らが身につけてきた物事を判断する基準は、流動的ではあるのだが一度形成されたものを大きく自らの手で変更していく事は容易ではないように思う。
そのための妨げになる1つの要因は、彼らの使用する言語があげられるかと思う。日本人の多くは日常的に日本語だけを使って生活するから、日本語を通じて学習する事になる。
彼らは日常生活で、人と話し、ニュースや本も読み、情報を得、学習する。これらは日本語を通じて行われる。
海外のメディアや書籍も日本語に訳されたものだけ取得する事ができる。
メディアを介するプロパガンダが有効な理由の1つもここにある。
インターネットで世界の多くの場所に多くの人がアクセスできるようになっても、ここで言っている言葉の壁がある。
この言葉の壁は、単に現在の機会による翻訳で乗り越えられる部分とそうでない部分がある。
乗り越えられない部分は、人によって語に対する解釈の違いがある。この解釈は人が身につけてきた常識に依存する。人の常識はその人の経験に依存する。その人の経験はその人の環境とその人のパーソナリティに依存する。
似たような環境で似たような経験を積んでいけば全く同じではないが似たような常識が人々に出来上がる。
持っている常識が違うと同じ言語を使ってもコミュニケーションがうまくいかない場合が出てくる。
だからある言語を使ってその言語を母語とする人達とコミュニケーションを円滑にとりたければ単に単語を覚えたり、文法を理解するだけでなく、その言語を使用している人達の常識を理解する必要がある。その上でその言語を使っていかないと、日本人の感覚では常識的な事を伝えたつもりでも、それは相手にとって非常識な事として解釈される可能性がある。だから昨今の日本のテレビでは外国人がよく出てくる番組がある。
そういったコンテンツを通して大衆へ異文化を学習させる事で彼らが今後、英語や中国語を使って外国人と共に生活できるように教育しているのが現在。

と思う。